人身事故を起こしてしまったらどうなるのか? 交通事故の加害者の告解

ボッチな毎日

本日、車を修理に出しました。慣れない代車はやはり運転が怖いです。
以前の記事でも車は怖いと書きましたが、実はオッサンは過去に交通事故、それも人身事故の加害者になった事があります。
書こうか迷ったのですが、車を運転する全ての人に、何らかのメッセージになればと記事にしようと思います。

完全な脇見運転

事故を起こしたのは、今から約30年ほど前、まだ20代の頃でした。
その日、私は1台の自転車を後ろから撥ねました。車で言えば追突事故です。
完全な脇見運転でした。

覚えている最初の光景は、突然フロントガラスを突き破って車内に人が飛び込んで来た瞬間、そして再び急ブレーキの反動で車外に飛び出し、ボンネットを滑り落ちていく姿。

瞬間的に「あぁ終わった」と思った事だけは鮮明に覚えています。
被害者の安否など頭になく、自分の人生がどうなるのかだけを考えていました。

相手が死んだかも知れない状況なのに自分の事しか考えない、酷い話ですよね?
でも、こうした緊急時にこそ、その人の本性が現れるのだと思います。
私の本性は……残念ながら最低のクズのようです。

事故の際の対応

事故を起こした後、どういう行動を取ったのか、実を言うと記憶が定かでありません。
我に返ったのは、警察署の一室で事情聴取を受けている時でした。
自分で救急車を呼んだり警察へ通報したりしたようなのですが、まったく覚えていません。

轢き逃げをしなかった事だけは幸いでしたが、逃げ出してもおかしくない心理状態だったのではないかと思います。

当時は携帯電話なんて無かったので、近所の家に駆け込んで電話をお貸りしたので、お礼をしなければと思ったものの、どのお宅で電話を借りたかも覚えていなかったので、事故後に現場付近の家を1件1件「電話をお借りしませんでしたか?」と、訪ねて歩きました。

警察署にて

事情聴取を受けながら我に返った時は、もう完全に夜になっていました。
その間に、警察と事故の状況について話ていたようですが、自分がどの道をどの方向から走ってきたのか、何キロで走っていたか、どの時点で自転車に気が付いたか、ブレーキはどの段階で踏んだかなどを聞かれていたようで、これが私の供述調書?になったようで、その後の検察での取り調べ(?)での、証拠の一つとなりました。

覚えていない事を、何故無意識に答えられたのかは今でも謎ですが、もし自覚があるのなら全て正直に答えた方が良いと思います。
ヘタに誤魔化そうとすると、後々とても面倒な事になります。

警察署へ病院からの情報が来て

私が取り調べを受け始めてどの位の時間が経ったのか分かりませんが、病院から被害者が意識を取り戻した事、命に別状はないとの事、これらの連絡が入り、私にも伝えられました。

その話を聞いた瞬間、ブワーっと涙が出て止まりませんでした。
ただ、この時点でも被害者の無事を喜んだというよりも、人殺しにならなくて済んだという安心感からの涙だったように思います。

どこまでも利己的なクズ男ですね。
我ながら本当に情けなくなります。

現場検証

警察署での取り調べの後(途中だったかも?)、現場検証へ行きました。
そこで、私の話と現場の状況に矛盾が無いかなどを調べていたようです。

この現場検証で、事情聴取で保身の為に嘘の供述をしても簡単にバレるので、事情聴取には誠実に応対した方が良いです。

私の場合、既に辺りは真っ暗になっていたので、翌日にもう一度現場検証が行われました。

明るい事故現場にくると、自分が本当に人を轢いてしまったのだと実感され、改めて恐ろしさに震え上がりました。

この時になって初めて被害に遭われた方が、どの程度の怪我だったのか? 後遺症などはどうなのだろうか? などを考えて、相手の方に申し訳ないという気持ちが出てきたように記憶しています。

病院へのお見舞い

警察の取り調べがひと段落した後で、相手の方が入院している病院へ見舞いに行きました。全治1カ月、肋骨と下顎骨(アゴの骨)左腕の骨折、そして全身の打撲。
幸い、その時点では脳に損傷はありませんでした。ただし硬膜下血腫の可能性は有るので、そちらは経過を観察する事になりました。

警察の調べでは、ほぼノーブレーキで時速40キロ程で突っ込んでいたようで、事故の状況を考えると、命が助かったのは奇跡的だという話でした。

被害に遭った本人、そして家族の方とも面会して少し話をしました。

本人は絶対安静の状態でアゴの骨折もあり、ほとんど話せない状況だったので、家族(息子さん夫婦)とお話をさせてもらいました。

何故こんな事故を起こしたのか?と問われましたが、謝罪と同時に自分でも何故こんな事故を起こしてしまったのか分からない、完全な脇見運転だったという話をしました。

よそ見をしていて、後ろから撥ねたのですから100%私が悪いのは確かです

それから、退院するまでの1カ月、ほぼ毎日面会に行きました。
とても良い人で、多少動けるようになってからは、面会に来た私にジュースなどを持たせてくれたりしのですが、余計に申し訳なさがこみ上げ、本当に取り返しの付かない事をしたのだと実感しました。

事故後の行政処分

事故の状況や相手の怪我の状態などで、処分の軽重が変わるようで、私は6カ月の免許停止処分となりました。

怪我の状態に関しては、入院期間が1カ月を超えるかどうかが、判断の分かれ目になるようです。
私の場合は、ちょうど1カ月だったので、本当に微妙な判断だったのだろうと思います。

もし相手の怪我がもう少し重かったり、それまでに何か別の違反をしていたら、免許取り消しになるギリギリの所だったと警察から説明がありました。

そして、今後は検察の方へ送られるので、検察からの連絡を待つように言われました。

数日して検察から呼び出しがあり、地方検察丁に出頭(?)しました。

生まれて初めての検察へ出頭し、震えて足が前に進まなかった事が、
今でも忘れる事ができません。

検察での取り調べ

検察官の元には、警察で作られたであろう様々な書類、事故現場の地図や事故状況が書き込まれた資料などがありました。

見せては貰えませんでしたが、被害に遭われた方の証言や、家族の話などもあったようです。
それらの内容に間違いがないかなどを聞かれ、間違いありませんと答えました。

それから、被害者に遭われた方の印象や、被害者の家族はどういう反応だったのか?なども聞かれました。
本人はとても良い人で、見舞いに行く度に逆にお土産を貰ってしまった事。
息子さん夫婦達も、怒ってはいたけれど、とても理性的な人だった事などを話しました。
そんな人たちを悲しませる事をしてしまったのだと、申し訳ない気持ちで一杯でした。

刑事処分の行方

検察官との話の最後で「今回の事故は起訴猶予にしようと思う」と言われました。

どんな処分が出ても受け入れよう、
裁判になったら全て認めようと覚悟していました。

これは私の想像ですが、検察官は私が事故に対してどう向き合っているのかを、聞き取りの中で判断していたのではないかと思います。

それと、検察官の話では被害者側から「あまり重い罪に問わないであげて下さい」という申し出があったとの事でした。

そうです、加害者のクセに被害者から救われるという本末転倒な事が起こったのです。
もう、申し訳なさやら感謝やら、何だか訳の分からない感情で再び涙が止まりませんでした。

ただし、今後の私の対応次第では、猶予は取り消されて裁判になるので「今後も誠実に対応するように」と、しっかりと釘を刺されました。

事故を振り返って

私が働いていた職場でも、私の処分が検討されていたようです。
事故処分の結果によっては、懲戒免職もあり得たと後から聞きました。
本当に人生が終わるかどうか、まさに瀬戸際にいた事になります。

もし、刑事事件で懲戒免職処分を受けたら、二度と医療機関では働けなくなると思います。
履歴書の賞罰欄に、必ず記載しないといけませんから

事故後、6カ月の免許停止期間中、病院のオンコール業務なども自転車で対応していましたが、正直自転車に乗るのも怖くて仕方ありませんでした。

再び車に乗るようになってからも、あの事故は忘れらませんし、忘れてはいけない事なのだと思います。

優しく生きなさい

事故後も被害者の方と交流がありましたが、実の祖母と接しているような錯覚に陥る事もありました。
あの時、何故減刑を申し出てくれたのかは分かりませんが、その人と接する中で「優しく生きなさい」と言われているように感じました。

正直、今の自分が優しいか?と問われると、相も変わらず人間のクズのような生き方しか出来ていない事に、申し訳なさしかありません。

私には優しい生き方は難しいですが、せめて事故だけは起こさないような運転を心掛けたいと思っています。

万が一事故を起こしてしまった場合はどうするのか?

私が言うのもおこがましいですが、やはりまずは怪我をさせてしまった方と誠実に向き合うべきだと思います。

誠実に向き合うのは当然の事のように思いますが、中には保険会社へ任せきりという人もいるようです。
ですが、事故は相手を死亡させてしまったり、一生残る障害を負わせてしまったりする行為です。
やはり保険会社任せでなく当人も動くべきだと私は思います。

警察などの取り調べでは、本当にありのままを話すのが一番です。
それと、現場検証や、被害者や目撃者の証言などによって、罪を軽くしようと嘘の供述をしても、絶対にバレると思います。
私も、現場検証に立ち会い、ここまで綿密に調べるのかと驚きました。

もう一度言います。絶対にありのままを話すべきです。嘘や誤魔化しは通用しません。
嘘や誤魔化しは、後々自分のクビを絞めるだけです。
民事上で和解し、刑事的な刑罰を終えた後でも、社会的に終わってしまう可能性が高いと思います。

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