FIRE後の選択肢として「セミリタイア」を選ぶメリットと危険性について

FIREについて

前回の記事で、FIRE後の医療保険について、会社の保険を任意継続するのか、国民健康保険にするのか?という記事を書きました。
今回はもう一つの選択、フルリタイアかセミリタイアか?について書いてみたいと思います。

FIREの定義

FIREは、Financial Independence(経済的独立)という言葉に現わされるように、基本的には生活に必要な資金を資産収入などが上回る状態とされているため、本来であれば働かなくても生活していけます。

つまり、働くことも働かないことも、自分自身で自由に選択出来る。
これが本来のFIREのあり方だと思います。

セミリタイアの二つの形

FIREを目指す場合のセミリタイアには、二つのケースに大別されるようです。

一つは先ほど言ったように、経済的には働く必要は無いのだけど、やりたい仕事があって働きたいというケース。
この場合であれば、何の問題もなく「好きな仕事を好きなだけすれば良い」と思います。

もう一つは早期退職したけれど、やはりもう少し収入があった方が生活が安定するので働くというケース。
セミリタイアは経済的に大きなメリットがあり、実際に私も可能であればセミリタイアが良いと思っています。

しかし、このケースでは少々危うい点もあるのかな?と個人的には感じています。

ではセミリタイアにはどんなメリットがあり、危うい部分とは具体的にどんな事なのか考えて見ます。

セミリタイアのメリット

セミリタイアの大きなメリットの一つは、もちろん経済的に余裕が持てるという事です。
例えば、毎月25万円の生活費が必要とすると、年間300万円の資金が必要になり、58歳の私の場合、平均余命83歳まで生きると仮定した場合、必要資金は7800万円となります。

ところが、以前の記事にも書きましたが、仮にインフレ率を2%と見込んだ場合、必要な資金は1億円以上に跳ね上がります。

投資の際には頼もしい福利計算ですが、支出に当てはめると恐ろしい結果を出してくれますね

そして、仮に月に5万円程度のアルバイトを70歳まで続けたとすると、総額は5万×12カ月×13年で、合計は780万円になります。

インフレ率を考慮しなければ、アルバイトで得た収入分だけの余裕しかありませんが、これがインフレ率を加味して計算すると、驚くほどの効果が出ます。

私が平均余命の83歳まで生きると仮定すると、必要な資金に何と1600万円以上の資金的な違いが出ました。

何故収入よりも大きな差になる?

実際に得る収入は合計で780万円なのに、何故1600万円もの資金的な余裕が生まれるのか?
表計算ソフトを使えば、それほど面倒な計算でもないので、皆さんも試算してみて下さい。

一方は、現状の生活費(300万円)が、58歳から83歳までの25年間、毎年2%づつ上昇した場合の合計金額。
もう一つが、同じようにインフレするが、最初の13年間だけ60万円収入があると仮定して、生活費から減額した場合の合計金額。

どうです?何もしないとインフレによって、83歳時点では年間492万円(月額41万円)もの生活費が必要となりますが、最初の13年間に月5万円の収入を得るだけで、83歳時点の生活費は年間415万円(月額35万円)になりませんか?

70歳以降は働いていないのに、働いていた時以上の差が出来るって、本当に福利の効果は良くも悪くも恐ろしいですね。

まあ、これはあくまでも毎年2%程度のインフレがあると仮定した話なので、今後の物価状況によっては、それほど差は出ないかもしれないし、逆の事だってあり得る訳ですが。

金銭面以外のメリット

社会との繋がりという面でも、セミリタイアは良い選択だと思います。
これも以前の記事で書きましたが、仕事を辞めると(特にボッチの場合)、社会から孤立しがちになります。
社会からの孤立は、健康維持にも影響してきますし、認知症を発症するリスクも高まります。

人生を楽しむためにFIREしたのに、健康を害してしまっては本末転倒ですよね。
やはり折角の人生なんだから、色々と楽しみたいじゃないですか。
それと、働くと言っても現在とは仕事へのスタンスも変化すると思うんです。

もちろん、現在の仕事が好きでFIRE出来る資金はあるが働き続けたいという事であれば、自身の生き方と仕事がマッチしているという事ですから、何も言う事はありません。

現在の仕事が合わないとFIREして、早期退職した場合でも、少しだけなら働いても良いかな? この位なら良いかな? という範囲で働けるのであれば、それも良いですし、何かまったく新しい事にチャレンジするのも良いですよね
いずれにしても、無数の選択肢の中から好きな道を選べば良いと思います(^^)


…………とでも、本当に思っていましたか?

セミリタイアに潜む危険性

経済的な安定性を求めてFIRE後も働くという場合、早期退職を優先するあまり、資産形成が不十分な状態でFIREした可能性がありませんか?

もちろん毎月の生活費は変動するものですし、株式や不動産からの資産収入も変動するので、FIREと言っても、よほど余裕のある状態でなければ「完全な経済的独立」というのは難しいでしょう。

私も「完全に資産収入が生活費を上回るまではFIREすべきではない」と思っている訳ではありません。

自分自身、そんな状況は作れていません

ですが、早期退職を早まってしまった場合、いずれ生活を維持出来なくなるリスクがある
そんな事も承知しておいた方が良い考えています。

仕事が見つからない。

早期退職にも、色々な状況があります。

自身のスキルを高めて、よりキャリアアップする為に転職する場合、不幸にも倒産やリストラなどで仕事を失ってしまった場合。

ですが、FIREの場合には私のように自己都合による退職が多いのではないでしょうか?

私の退職交渉は、現在完全に座礁状態ですが、一応ハローワークなどで職探しも始めています。
今は休みたいと思ってはいますが、ただ現在の職場から離れたいというだけで、まったく働く意思が無い訳ではないので。

ですが、色々と仕事を探してみると、厳しい現実に直面します。
そう、先ほど書いたように、無数の選択肢から好きな職業を選択するなど夢物語で、驚くほど選択肢が無いのが現実です

ただでさえ、私の年齢で出来る仕事というのは限定されますし、自己都合で退職した場合には、更なる壁も存在します。

離職票の離職区分がどのようになるかにもよりますが、特段の事情が無く何度も仕事を辞めてしまう人は、次の職場でも「雇っても続かないのでは?」と、信頼されません。
はっきり言ってしまえば、私は「瑕疵物件」なんです。

実際に、私自身も病院の採用試験の面接官をした経験もありますが、複数の病院を渡り歩いている人に対しては警戒感を持っていました。

私の場合、今の職場が嫌で逃げ出すように早期退職を目指しているのに、現在の仕事の方がまだマシだったという仕事しか見つからない可能性の方が遥かに高いというのが、悲しい現実です。

自由な生活を目指してFIREしたのに、今以上に酷い職場に再就職しなければならない。
これ何て罰ゲームだよ!と突っ込まずにはいられません。
それならば、今の職場で定年・雇用延長と65歳まで働いた方がマシなようにも感じてしまいますね(^^;

それでも私はFIREを目指す!

例え選択肢が限られると言っても、月に5万円だけ稼げれば良いというのは、かなり条件的には緩くなると思います。

理想を言えば、ブログなどで5万円の収益が出れば言う事は無いのですが、さすがにそれは難しそうです。

それでもオッサンはFIREを目指したいのです。

社会人になって、初めて勤務した病院は倒産してしまい、色々と苦労もありましたが、貴重な体験も出来て、様々な人との交流も経験できました。
わずか5年ほどでしたが、58年間の人生の中でも最も濃密な時間を過ごせたと思っています。

その分だけ、その後の30年が余計に空疎に思えてしまうのです。
バブル後の日本経済の事を、良く失われた30年などと表現されますが、私にとっては今の職場で仕事こそが失われた30年だと感じています。

人生100年時代とか言われていますが、実際には私に残された時間はそう多くないと思っています
だからこそ、残り時間を有効に使いたい 、少しでも悔いを残さないように生きてみたい。

私にとってFIREとは、その為の手段なのです。

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