FIREの民が壊滅する? 日本で富裕税(資産課税)の導入は有り得るのか?

FIREについて

かつて欧州等で富裕税という税制度が導入された事があります。
その中に、所有する資産に対して課税するという部分があるのですが、もしこれが日本に導入された場合、そもそもFIREなど成り立たないかも知れません。

FIREなんて無理

所得税にしろ法人税にしろ、基本的に収入(黒字)があった場合に、その収益に応じて課税されます。つまり無職で所得が無い人には、税金が課せられる事はありません。

住民税についても所得に応じて計算されますので、所得が多い人ほど税額が多くなり、収入が無い場合には非課税になる自治体が多いのではないかと思います。

その点、所得の有無に関わらず消費に応じて課税される消費税は逆進性が高いと言われていますよね。

ところが、富裕税(資産課税)に関しては、キャピタルゲインやインカムゲインではなく、資産そのものに課税されてしまうので、私のように積み立て投資でFIREなんて事は事実上不可能という話になりかねません。

そうでなくても、結構税金や社会保険料の負担って重いと実感しているのに……(泣)

日本にも資産課税があった?

実は日本でも資産課税は既に導入されています。
家屋などの不動産に課せられる固定資産税が代表ですし、自動車税なんかも広義ではそうかも知れません。

現在は金融資産そのものに課税するという制度はありません。
ですが歴史的に見れば、第二次大戦後にシャウプ勧告によって純資産額500万円を超える個人に対して、500万円を超える資産へ0.5~3%の税金が課せられたという事実があります。

様々な問題が続出して、わずか3年で廃止になりましたが、日本でも実際に導入された事のある税制度なんです。

資産課税なんて有り得ない?

何故そんな古い話を持ち出したのかと言えば、最近富裕税(資産課税)を導入すべきという声がチラホラと聞こえてきているからなんです。

近年は貧富の差が拡大し、かつては一億中流社会なんて言葉もありましたが、最近では死語になっていますよね。

そして、低所得者ほど負担が大きいと言われる消費税は当初の3%から5%・7%・10%と着実に税率が高くなっています。
2020年のGDPがリーマンショック時の-3.6%を超え-4.6%に落ち込む中で、何故か税収が過去最高を記録したのも、消費税引き上げの影響が大きいとも言われています。

こうして拡がっていく貧富の差を埋める税制度として富裕税が話題に上り始め、日本の政党では日本共産党が純資産5億円を超える場合に0.5~3%の富裕税を課す事を政策としてあげています。

また、現在でも欧州の一部の国などで資産課税制度が導入されていますので、絶対に有り得ない話ではないように思います。

超富裕層以外は対象外?

先ほどの日本共産党の案では課税対象は純資産額5億円を超える事が前提になっています。
加えて自宅用不動産評価の軽減や自営業者の事業資産への特例措置などで中間層へ負担が掛からないように配慮するとも言っています。

またアメリカのエリザベス・ウォーレン上院議員の唱える富裕税も、対象は5000万ドル~10億ドル以上の超富裕層が対象だとしていますので、そうした超が付く富裕層以外は対象外になるように感じられます。

それならば一安心……って、本当にそうなのでしょうか?
少し欧州など、実際に資産課税を導入している国を見てみたいと思います。

欧州などの例

現在のところ資産課税(富裕税)を導入している国は、私が調べられた範囲ではスイス・オランダ・ノルウェー・ルクセンブルグ・インドの6カ国でした。

かつてはオーストリア・デンマーク・ドイツ・フランスなどにも純資産へ課税する制度がありましたが、現在は廃止されています。
直近では2018年に、マクロン大統領によってフランスの富裕税(資産課税)が廃止されていますね。

やはりどの国の制度を見ても、一定以上の富裕層が対象となっているようですが、ノルウェーなどは1800万円を超える資産が対象になってくるようなので、これを日本に当てはめると相当数の世帯が対象になるのではないでしょうか?

更にオランダなどは独身5万ユーロ(約700万円)夫婦10万ユーロ(約1400万円)以上の資産を保有している世帯を対象に、推定キャピタルゲイン率を設定するという複雑な方式が取られています。

とは言え、ルクセンブルグの純富裕層税のように5億ユーロ(約700億円)以上が対象と、超富裕層がターゲットである事は間違いないと思いますが、消費税のように一度導入されてしまえば、対象資産額や税率などは幾らでも変動するので、他山の石と傍観出来るものでは無いように思います。

もし資産課税が導入されたら

仮に超がつく富裕層のみが課税対象に限定されたとしても、我々FIREを目指す人間にとって、どれほどの影響が出る事か……

直接自分に税金が課せられる事はなくても、課税対象となる超富裕層の人が株を手放したり株取引を控えたりしたら、株式市場へどのような影響が出るか予想も付きません。

更に、会社や個人が海外に脱出する事だって有り得るかも知れません。
つまり、人材・頭脳・技術、そうした貴重な日本の資源が海外へ出ていってしまうという議論も出ているようです。

実際には、富裕税が導入されている国から、人材や企業がどんどん流出しているという話も聞きませんので、真偽のほどは確かではありませんが……

それにしても、安心してFIREを目指せるのも、或いはFIRE生活を送れるのも、日本という国が安定しているからこそだと思います(現在の状況が安定と言えるのかは諸説あると思いますが)

貧富の格差拡大を放置しておいて良いとは思いませんが、富裕税(資産課税)という劇薬を投与するのはリスクが高過ぎると思うのは、私の思い過ごしでしょうか?

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