年金制度は100年安心? 本当に年金を当てにして良いのか?

FIREについて

多くの国民にとって、老後の主な収入は年金に頼らざるを得ないかと思います。
国は年金制度は100年は安心と言いますが、本当に大丈夫なのか厚労省の資料などから考えてみたいと思います。

年金制度は100年安心?

結論から言いますと、100年という数字はともかく、当面(少なくとも私の寿命のあるうち)は、年金制度は維持されると思っています。

けれど、それと年金を当てに出来るのか?は、また別の話かなとも思うのです。

年金が貰えなければ、それはもう年金制度じゃないじゃん!」というツッコミが入りそうですが、厚労省の資料を見る限り、当らずとも遠からずなのでは? と感じずにはいられません。

マクロ経済スライドとは?

皆さんも、マクロ経済スライドがどんな仕組みなのか、正確に把握している人がどれだけいるでしょうか?

物価によって年金の支給額が調整される物価スライドと間違える人もいるのでは?(実は私も勘違いしていました)

少し古い資料ですが、厚生労働省年金局の資料にマクロ経済スライドについての説明が載っています。次の図は、その一部を切り取ったものです。

これを見る限り、日本の経済状況や物価によってというよりも、年金財源を固定して、受給者で分配する仕組みのように見えます。

つまり少子高齢化の進行により年金を受給する人が増えたら、年金額を減らして財源を維持する。
言ってみれば「一つのパイを全員で分け合ってね、別ける人が増えれば分け前が減るのは当然だよね?」という事になるかと思います。

当初デフレの影響などにより、マクロ経済スライドの導入が見送られてきましたが、現在では導入されているので、少子高齢化が進めば一人当たりの年金受給額は減少すると見た方が良いのではないでしょうか?
(現在はマクロ経済スライドによる調整を終了する方向で動いているようですが、今後どうなっていくのか予断を許しません)

柔軟な受給開始年齢の選択?

昨年までは年金の受給開始年齢は70歳まで繰り下げる事が出来ましたが、2021年の4月から75歳まで繰り下げ時期が拡大されました。

1年繰り下げる毎に、0.7%受給額がアップする事から、70歳まで繰り下げると1.4倍に、75歳まで繰り下げると1.97倍と、ほぼ2倍に受給額がアップするという一見美味しい制度のように見えます。

元気な高齢者が増えて、現役時代と同様に働く人が多くなっている現状に合わせて、という側面も確かにあると思いますが、本当にそうでしょうか?

年金支給開始年齢を70歳に引き上げる為の、前振りのように感じるのは私だけでしょうか?

労働組合の全国組織である日本労働組合総連合会(略称:連合)の2020年の調査によれば、65歳以降も働く理由の第1位は「生活の糧を得るため(77.0%)」となっています。


見方によっては「働かないと生活出来ないから働く」とも見えますね。

どうなんでしょう? 65歳を超えても働く人が多くなったから支給開始を引き上げるのか? 年金だけでは生活が出来ないから働かざるを得ないのか?

もし後者だとすれば、年金支給開始年齢の更なる引き上げは、多くの国民にどのような影響を与えるのでしょうか?

厚生年金の適用拡大

年金は国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金の2階建て構造となっていて、小規模な会社などでは厚生年金に加入出来ず国民年金だけになっていました。

そのため自営業やフリーランスのように厚生年金に加入出来ない人の為に国民年金基金などの制度が設けられてきました。

そこで、短時間労働などの非正規雇用の人など、より多くの人が厚生年金を受給できるようにと厚生年金の対象を広げる検討がされています。

これも一見すると、より多くの国民が2階建て部分の恩恵が得られるように、国民の為の措置に見えますよね?

でも、何でも斜めに見てしまう私の目には、より多くの人から年金保険料を徴取する為の措置ではないか?なんて考えてしまうんです。

実際に厚労省の資料を見ても、財政検証オプションとして検討されている資料もあり、より多くの人に厚生年金を受け取って欲しいと言うよりも、より多くの人に保険料を払って欲しいという意味合いが強い気がして仕方ありません。

適用拡大の影響1

今まで厚生年金の加入が義務付けられていなかった小規模事業所や、短時間労働をしている人にまで厚生年金の加入が拡大されたら、どういう影響があるのか少し考えてみました。

現在「働き方改革」の中で、企業には同一労働同一賃金が求められ、基本的に正規雇用でも非正規雇用でも「同じ仕事」をしていれば、同じ賃金を支払う事になっています(この「同じ仕事」というのがミソなのですが)

けれど、同一賃金だから正規雇用も非正規雇用も労働条件に差が無いかと問われれば、決してそんな事はありません。

賞与や退職金などで差が付くという面もありますが、一番大きいのは正規雇用の社員は労働基準法などに守られていて、簡単にクビにする事は出来ませんが、非正規雇用ならば雇用期間の終了という事で、雇止めにする事が可能だからです。

以前にコロナで仕事を失った人を支援するNPOの方の話を聞く機会がありましたが、仕事を失った人の多くは非正規の労働者だという話でした。

幾ら正社員と同じ給料を貰っていても、その仕事自体を失うリスクが非正規雇用労働者にはあるという事ですね。

適用拡大の影響2

企業にとっても、適用拡大の影響は大きいです。

機械的推計としながらも、企業規模を100人とした場合の事業主負担は1130億円の負担増、50人とした場合は1590億円の負担増、そして規制そのものを撤廃した場合の負担増は何と3160億円と試算した資料もあります

厚生年金は年金保険料の半分を事業主が負担しますので、これは小規模な会社にとっては、かなり大きな負担になる事が容易に想像できます。

これについて厚労省は、事業所への「丁寧な説明が必要」としていますが、どんな「説明」をするのでしょうか?

正規雇用を減らして非正規雇用を増やせば、トータルの人件費は少なくて済むし、事業収益によって人員整理する事も容易ですよ!なんて「説明」はしないと思いたいのですが……さすがに邪推でしょうかね(^^;

加入人員のカウントについても、月単位でカウントし直近12カ月のうち6カ月で基準を上回ったら適用対象となる。なんて赤字で書いてあるという事は、非正規雇用は6カ月で入れ替えなのかな~?なんてね……グフフ(ゲス顔)

所得代替え率50%を維持?

どうしても邪な目で見てしまう私は、妄想が止まりません。

厚労省は年金による所得代替え率50%以上を維持するとしています。
けれど、非正規雇用が増えると国民の総所得は下がります。
そうすると、同じ50%でも国庫の負担は大分違ってくるのではないでしょうか?

先ほど書いた小規模事業所への適用拡大の所でも、事業所負担が増えれば増えるほど国庫への影響(負担)が減っている事からも、年金財政を少しでも長持ちさせる為に国庫への負担を少しでも減らそうとしているように思えて仕方ありません。

より長く保険料を払って欲しい

元気な高齢者には、いつまでも働いて欲しい(一億総活躍社会)という事も、私の目には「より長く年金保険料を払い続けてね」という風に見えて仕方ありません。

我ながら心がねじ曲がっているという事は自覚しているのですが、どうしても邪推が止まらないのです。

国民年金についても、今までは40年間、例えば20歳から払い続ければ60歳までだったのを、45年(65歳まで)にしようとする案も出ています。

そんな事から、一億総活躍、元気な高齢者を応援する、という美辞麗句の影(?)で、少しでも保険料を払い続けて、国庫負担の軽減に貢献してね。
間違ってもFIREなんて考えるなよ……なんて言われているような気が……

もうここまで来ると被害妄想の類かなと、自分でも思ってしますが、何だか笑えないんですよね~

まとめ

冒頭でも書きましたが、私は今後も年金制度は維持されると考えています。

けれど、制度を維持する為の政策は、国民にとっても小規模事業所にとっても厳しい物になるのではないかと考えます。
そして、年金の受け取りはどんどん先送りされ、金額も少なくなっていくとも考えています。

そうでもしなければ、年金財政が破綻してしまいますから。

これも以前に書きましたが、ヨーロッパを始めとした先進国と言われる国の多くが少子高齢化に苦しんでいます。
そして、少子高齢化を食い止める為の施策を打ち出そうと必死になっています。

一方で我が日本は、少子高齢化を止めるというよりも、少子高齢化の中でいかに財政政策を行っていくか、いかに経済を回していくかを考えているように思えます。

言い過ぎかも知れませんが、少子高齢化を「止められない時代の流れ」として受けれているように思えて仕方ありません。

子供のいないボッチな私が言うのも何ですが、若い女性が安心して結婚して、安心して出産して育児も社会的に保障され、出産後も社会に復帰できる。

そんな「総活躍社会」が出来たら良いなと思うのですが、オッサンの貧相な頭では具体的な方策は思い付きません。

頭の良いキャリア官僚の皆さま。そんな未来を考えては貰えないでしょうか?

ともあれ、自分の身は自分で守る必要がありそうですよね。
FIRE(アーリーリタイア)するしないに関わらず、経済的な独立の為の資産形成には、大きな意味があると思います。

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